コエンザイムQ10が脳卒中の予防に役立つ理由
脳卒中(脳梗塞)の原因になる動脈硬化の予防に役立つ
脳卒中と動脈硬化の関係
脳卒中とは、脳の血管が破れたり詰まったりして起こる病気のことをいいます。この脳卒中には、脳の血管が詰まる「脳梗塞」と、脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」などの種類があります。
脳梗塞は、動脈硬化が原因となって起こることが多いです。
脂質を過剰に摂り過ぎたり偏った食生活を続けたりすると、血液中に悪玉(LDL)コレステロールが増えすぎてしまいます。すると、細胞内に収容しきれなくなり、悪玉コレステロールが余ってしまいます。
その余った悪玉コレステロールが、血管の内皮細胞のすき間から内膜に入り込むと、活性酸素(※1)によって酸化させられ、「酸化LDL」に変化します。
(※1)活性酸素は、人が呼吸によって酸素を吸うことで自然と発生し、体内に侵入したウイルスや細菌と戦います。しかし、ストレスや紫外線などの影響を受けると過剰に発生してしまい、健康な細胞まで酸化させてダメージを与えてしまうのです。
酸化LDLは、血管の中の掃除屋とも呼ばれているマクロファージによって取り込まれて処理されます。しかし、マクロファージが酸化LDLを限界まで取り込むと、破裂してしまいます。
この破裂によってできた残骸などが、ブヨブヨした塊(プラーク)をつくるため、血管の内壁が狭くなります。
また、酸化LDLなどの影響によって血管そのものも硬くなって弾力性を失います。このように、酸化LDLの影響によって血管が狭くなったり硬くなったりすることで、動脈硬化が進行してしまうのです。
そして、動脈硬化の進行によって脳の血管が詰まり、脳の血の巡りが悪くなると、脳の組織に酸素や栄養が十分に行き届かなくなります。脳の酸素不足や栄養不足がある程度の時間続いてしまうと、その部位の組織が壊死して脳梗塞となってしまうのです。
コエンザイムQ10の抗酸化力が酸化LDLの発生を抑制する
動脈硬化の原因になる酸化LDLの発生を抑制するためには、活性酸素を除去する抗酸化力がある成分を摂取することが大切です。
コエンザイムQ10は、この抗酸化力が強い成分ですので、摂取することで過剰に発生した活性酸素をしっかりと除去することができます。
そして、活性酸素を十分に除去することで、脳卒中の原因になる酸化LDLの発生が抑えられるのです。
このコエンザイムQ10は、牛肉やイワシなどに多く含まれています。
しかし、コエンザイムQ10の摂取目安量(約100mg程度)を満たすためには、牛肉は約3kg、イワシの場合は約20尾以上も食べる必要があります。ですから、コエンザイムQ10を毎日食品から十分に摂取することは非常に難しいです。
健康維持のためにコエンザイムQ10を取り入れるなら、サプリメントなどから毎日効率よく摂取することをおすすめします。
脳卒中(脳出血)の原因になる高血圧の予防に役立つ
脳出血と高血圧の関係
脳卒中の一種である脳出血は、高血圧が原因で起こることが多いです。
血圧とは、心臓から押し出された血液が血管の壁に与える圧力のことを指します。ですから、血圧が高い状態が長く続くと、脳の細い血管にも無理な力がかかります。
その結果、脳の血管がダメージを受けて血管の壁が脆くなり、切れやすくなってしまうのです。
脳出血が起こると脳の神経細胞が破壊され、障がいや合併症が残ったり、命の危機を引き起こしたりする可能性があります。
コエンザイムQ10がATPの生産を活性化して血圧の上昇を抑制する
コエンザイムQ10には、血管拡張作用があるATP(アデノシン3リン酸)を生産する力を高める働きがあります。
このATPは、食事などから摂取した糖質・脂質・タンパク質などの栄養素が、細胞内に存在するミトコンドリアの働きによって変換されることでつくり出されます。
ATPは血管を拡張させるだけでなく、体内の様々な活動において必要とされるエネルギーであるため、ミトコンドリアがうまく機能しないとエネルギー不足になってしまうのです。
このミトコンドリアの働きを活性化させるためには、コエンザイムQ10の力が必要不可欠です。しかし、体内でつくられるコエンザイムQ10の量は、20歳でピークをむかえ、その後は加齢に伴って減少していってしまいます。
ですから、ミトコンドリアのATPをつくり出す力を活性化させるためには、コエンザイムQ10をサプリメントなどから意識的に摂取することが大切です。
コエンザイムQ10の力でATPがうまくつくり出されるようになると、ATPがもつ血管拡張作用によって血圧の上昇を抑えることができ、脳出血の予防にも繋がります。
また、コエンザイムQ10を用いた血管内皮細胞における効果を調査した研究では、血液に比例した血管拡張作用が認められ、コエンザイムQ10が高血圧の予防に役立つことが示唆されたのです。