タバコを吸う人に嬉しいコエンザイムQ10の働き
タバコで発生する活性酸素を除去して動脈硬化を防ぐ
喫煙は動脈硬化のリスクを高める
タバコの煙には、体において様々な悪影響を与える活性酸素が多く含まれています。この活性酸素は、本来は強い酸化力を活かして、細菌などを除去する役割を果たす物質です。
しかし、喫煙などの影響で活性酸素が増えると、正常な細胞にもくっついて酸化させしまいます。酸化してしまった細胞は、老化が進んで機能が低下してしまうのです。
活性酸素はタバコの煙だけでなく、タバコの煙で炎症を起こした気管支の内側にも発生します。ですから、喫煙は体内の活性酸素を大きく増加させてしまうのです。そして、余剰な活性酸素は、動脈硬化を招く恐れがあります。
実際に、滋賀医科大の研究チームが行った研究では、喫煙量が多い人や喫煙期間が長い人ほど、動脈硬化のリスクが高まることが報告されています。また、喫煙者は全ての部位で動脈硬化が進行するともいわれています。
活性酸素によって動脈硬化が進行するメカニズム
血液中の悪玉コレステロールが活性酸素とくっついてしまうと、「酸化LDL」と呼ばれる異物に変わります。
免疫細胞の一つであるマクロファージは、異物として認識した酸化LDLを取り込んで処理します。しかし、限りなく取り込んでいくうちにマクロファージは肥大化し、泡沫細胞という状態になります。
この泡沫細胞が血管内に沈着することで、血管内が狭くなって動脈硬化が進行してしまうのです。
コエンザイムQ10の抗酸化作用が活性酸素の影響を抑える
喫煙で増加した活性酸素による影響を抑えるためには、活性酸素を除去する働きがある「抗酸化物質」を取り入れる必要があります。
コエンザイムQ10には高い抗酸化作用があるため、摂取することで活性酸素の攻撃を抑えることが期待できます。
コエンザイムQ10の抗酸化作用で活性酸素による影響が抑えられれば、酸化LDLの発生の抑制も叶えられます。そして、サラサラとした良い血流を維持することができるのです。
このように、コエンザイムQ10には過剰な活性酸素を除去する働きがありますが、薬ではないためタバコによる動脈硬化を絶対に防ぐことはできません。
ですから、動脈硬化を防いで健康を維持するためには、禁煙をすることが望ましいでしょう。
活性酸素を除去して肌老化を抑える
タバコによって増加した活性酸素は、肌老化も加速させる恐れがあります。
大量に発生した活性酸素は、肌のハリを保つコラーゲンを破壊します。また、コラーゲンやヒアルロン酸を生成する「線維芽細胞」を衰えさせます。
その結果、肌のハリや潤いを保つことが難しくなり、肌老化が進行してしまうのです。
コエンザイムQ10の抗酸化作用で活性酸素が除去されれば、コラーゲンや線維芽細胞を守り、たるみなどが気にならない肌を維持することができます。
しかし、タバコには活性酸素だけでなく様々な有害物質が含まれているため、喫煙を続ける限り肌に悪影響を及ぼします。
そのため、理想的な美肌を叶えるためには、できるだけ禁煙を心がけましょう。
ATPづくりを活性化して血流を良くする
ニコチンは血管を収縮させる
タバコの主成分である「ニコチン」は、血管を収縮させて血流を悪化させます。
血流が悪化してしまうと、体の冷えにも繋がります。皮膚の温度が低下してしまうと、新陳代謝(※1)が悪くなり、肌の真皮の働きも弱くなります。
その結果、くすみやしわなどの肌トラブルが起こりやすくなってしまうのです。
(※1)古い細胞が新しい細胞に入れ替わること
また、血管の収縮による血流の悪化も、動脈硬化のリスクを高めます。
血管が収縮して血流の速さが遅くなると、善玉コレステロールの合成がされにくくなり、動脈硬化部分にたまったコレステロールの抜き取りが悪くなります。
さらに、血管が収縮することで血圧も上昇し、弱くなった血管にますます負担をかけてしまいます。これらの影響によって、動脈硬化が促進されてしまうのです。
コエンザイムQ10が血管拡張作用があるATPの生産量を高める
コエンザイムQ10には、ATP(アデノシン3リン酸)をつくるミトコンドリアの働きを助ける働きがあります。
ATPは、体内の様々な活動で使われるエネルギーで、血管を拡張する作用もあります。
細胞内に存在しているミトコンドリアは、ATPの材料となる三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)を変換することで、このATPをつくり出しています。
ATPを発生させるためには、ミトコンドリア内で電子と酸素が結びつく必要があります。コエンザイムQ10は、この電子を伝達する際に重要な役割を担っています。
ですから、体内のコエンザイムQ10が不足してしまうと、ATPを十分に生み出すことができなくなってしまうのです。
コエンザイムQ10は加齢によって減少していってしまうため、サプリメントなどから積極的に補うことが大切です。
コエンザイムQ10を補ってATPの生産量が増えれば、ATPの血管拡張作用によって収縮していた血管が拡張されます。
そして、血管が拡張されることで血流がよくなり、冷えや肌トラブルなどを抑制することができるのです。