なぜコエンザイムQ10は歯周病の予防に役立つのか
コエンザイムQ10には歯周病の原因になる活性酸素を除去する力がある
活性酸素が歯周病を引き起こすメカニズム
歯周病とは、細菌の感染の影響によって引き起こされる炎症性疾患です。
歯磨きを十分に行わないと、細菌がつくり出した歯垢(プラーク)が歯の表面にくっついてしまいます。
この歯垢には、1mgあたりに約10億個の細菌が存在しているといわれています。その中には、歯周病を引き起こす細菌も存在しているのです。
このような歯垢の中にいる細菌の影響によって、歯肉が炎症を起こし、悪化すると歯を支えている骨を溶かしてしまいます。
歯周病を引き起こす原因には、活性酸素が大きく関係しています。
この活性酸素は、酸素を利用して代謝が行われる過程で自然と発生し、体内に侵入してきたウイルスと戦う役割を果たします。
白血球の中の顆粒球という血液成分は、この活性酸素を出して歯周病菌を退治します。
しかし、免疫力の低下などによって歯周病菌が増加してしまうと、その分顆粒球が過剰に集まります。そして、過剰に集まった顆粒球によって出された活性酸素が、歯周病菌を退治するだけでなく、歯茎の組織まで破壊してしまうのです。
その結果、歯周病の発症へと繋がってしまうのです。
活性酸素によって破壊された歯茎の組織は、炎症を起こして血流を悪化させます。それにより、またさらに顆粒球が集まって活性酸素を出すことを繰り返すことで、歯周病が進行してしまいます。
コエンザイムQ10には強い抗酸化力がある
コエンザイムQ10は、活性酸素を除去する強い抗酸化力がある成分です。そのため、意識的に取り入れることで、体内で過剰に発生した活性酸素による影響を抑制することができます。
また、コエンザイムQ10がもつ抗酸化力によって、活性酸素の過剰な増殖を抑制することで、歯周病になる前段階の歯肉炎も防ぐことができるのです。
実際に行われた研究では、歯周病を有するボランティアが還元型コエンザイムQ10を約2か月間摂取した結果、還元型コエンザイムQ10のサプリメントを摂取することによって、口腔内の環境が改善されることが示唆されました。
しかし、まだ研究段階にありますので、今後の研究報告が期待されます。
コエンザイムQ10には唾液を増加させる力がある
唾液には抗菌作用や浄化作用があり、歯周病菌の増加を防ぐ働きがあります。また、唾液が増加すると、歯周病だけでなく虫歯の予防にも繋がります。
コエンザイムQ10には、この唾液を増加させる力があるのです。
ドライマウス患者を対象として行われた研究では、還元型コエンザイムQ10を摂取した人には有意な唾液分泌の増加や、唾液中のコエンザイムQ10の量が増加したことが認められました。
まとめ
コエンザイムQ10には、歯周病の原因になる活性酸素を除去する力や、唾液を増加させる力があることから、歯周病の予防に役立つと考えられています。
しかし、これらは研究段階であるため、今後の研究報告が期待されます。そのため、歯周病の方や歯周病の疑いがある方は、コエンザイムQ10のサプリメントを素人判断で摂取せず、必ず医師に相談をしましょう。
歯周病の一番の予防方法は、丁寧な歯磨きやマウスウォッシュなどのデンタルケアです。コエンザイムQ10は様々な健康効果がありますので、そのおまけに歯周病対策ができる、と考えるのがいいでしょう。