コエンザイムQ10は更年期障害の症状を緩和する
ATPの生産を活性化してめまいを予防する
更年期障害のめまいは血流の悪化が原因で起こる
更年期障害とは、閉経の前後に女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減少することで起こる体と心のトラブルを指します。この更年期障害の症状の一つが、めまいです。
めまいには、グルグル回っているような感覚になる「回転性のめまい」と、まっすぐ歩けなくなったりふらついたりする「非回転性のめまい」がありますが、更年期障害では非回転性のめまいが起こるケースが多いといわれています。
更年期障害において非回転性のめまいが起こる原因として、血流の悪化が考えられます。
血流が悪化すると内耳や脳の活動に必要なATPが不足する
女性ホルモンと自律神経は、どちらも脳の視床下部でコントロールされています。そのため、閉経に近づくにつれて卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減少すると、脳が混乱して自律神経のバランスにも悪影響を与えてしまうのです。
自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位になると、血管が収縮して血流が悪くなります。そして、血流の悪化によって耳から脳にかけてエネルギーが十分に行き渡らないと、めまいが起こる可能性が高まるのです。
また、平衝感覚に関与している小脳や脳幹などに血液を送っている脳底動脈の血流が悪くなると、めまいが起こりやすくなります。
平衝感覚を司る器官を動かすためには、ATP(アデノシン3リン酸)というエネルギーが必要です。このATPは、体中の細胞の活動において必要とされるエネルギーで、特に脳は莫大な量のATPが必要だといわれています。
中枢神経や内耳も、ATPが不足してしまうと正常に働けなくなります。その結果、めまいといった症状が起こりやすくなるのです。
ATPを生み出しているのが、細胞内に存在しているミトコンドリアです。食事などから摂取した栄養素(糖質・脂質・タンパク質など)がミトコンドリアによって変換されることで、ATPがつくられます。
中枢神経や内耳がATPをエネルギーとして使うためには、血液を通して中枢神経や内耳に運ばれる酸素を、ミトコンドリアが吸収してATPを生産する必要があります。
ですから、血流が悪くなると、栄養や酸素が中枢神経や内耳に届かないため、めまいが起こりやすくなってしまうのです。
コエンザイムQ10にはATPの生産を活性化する働きがある
ミトコンドリアがATPをうまくつくり出すためには、ミトコンドリアの働きを助ける役割をもつコエンザイムQ10が必要です。
そのため、体内のコエンザイムQ10の量が不足してしまうと、ミトコンドリアの働きが低下してしまい、ATPの生産量も減ってしまうのです。
体内で生産されるコエンザイムQ10の量は20歳でピークに達し、その後は年齢を重ねるにつれて減少していきます。
ですから、ミトコンドリアがもつATPの生産機能を活性化させるためには、コエンザイムQ10のサプリメントを積極的に摂取することが大切です。
コエンザイムQ10は、牛肉やイワシなどの食材にも含まれています。しかし、コエンザイムQ10の一日の摂取目安量である約100mgを満たすためには、牛肉なら約3kg、イワシは約20尾程度食べる必要があります。
このように、食材から十分にコエンザイムQ10を摂取することは困難ですので、毎日効率よくコエンザイムQ10を補うためには、サプリメントを選びましょう。
コエンザイムQ10の働きによってATPの生産が活性化させれば、脳に必要なエネルギーの不足を防ぐことができます。また、ATPには血管拡張作用もあるため、ATPがうまくつくられるようになれば、血流の改善にも期待できます。
コエンザイムQ10によってATPの生産が高まれば冷えも抑制される
エストロゲンの減少の影響で自律神経が乱れて血行不良が起こると、冷えが現れる場合があります。
実は、ATPには体温を維持する働きもあるのです。体内でつくられたATPの約75%が、体温を維持するのに使われているといわれています。ですから、ATPが不足すると、体温の低下にも繋がってしまいます。
ATPをつくり出すミトコンドリアの機能低下を防ぐためには、体内で過剰に発生した活性酸素(※1)を取り除くことが大切です。
(※1)活性酸素は、酸素を吸うことで自然と発生し、体内に侵入した菌などと戦う役割を果たします。しかし、ストレスなどの影響を受けると大量に発生し、健康な細胞までダメージを与えます。
コエンザイムQ10には、活性酸素を消去する抗酸化作用があります。コエンザイムQ10の抗酸化力によって活性酸素による影響を抑えられれば、ミトコンドリアの正常な機能が守られます。
そして、コエンザイムQ10のサポートによってATPの生産量が高まると、そのATPの働きによって体温が維持されるのです。
抗酸化力で活性酸素による影響を抑えて更年期障害の悪化を防ぐ
更年期にエストロゲンが急減すると、自律神経の働きが乱れます。自律神経のバランスが乱れて、活性酸素を生み出す交感神経が活発になると、活性酸素が増えてさらにホルモンの分泌を乱すという悪循環が起こってしまうのです。
その結果、不安感といった様々な更年期障害の症状が起こったり悪化したりする可能性が高くなってしまうのです。
また、活性酸素の発生量が多い人ほど、更年期障害が重いともいわれています。
エストロゲンには、活性酸素を除去する抗酸化作用があります。しかし、閉経に近づくにつれてエストロゲンの分泌量が低下すると、活性酸素を除去する力が弱くなってしまうのです。
ですから、活性酸素による影響を抑えるためには、コエンザイムQ10といった強い抗酸化作用がある成分を意識的に摂取しましょう。
コエンザイムQ10の抗酸化力で、活性酸素による影響を抑えて脳の機能低下を防げれば、更年期障害の症状の抑制に期待できます。
まとめ
コエンザイムQ10がもつATPの生産を活性化させる働きや、抗酸化作用は更年期障害の予防や症状の抑制に役立ちます。
しかし、更年期障害を予防するためには、日頃から栄養バランスの良い食事やウォーキングといった有酸素運動を取り入れることが大切です。
このような対策を行い体力を高めた上で、健康維持をサポートしてくれるコエンザイムQ10を取り入れることをおすすめします。