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医薬品としてのコエンザイムQ10について

コエンザイムQ10の発見

エネルギーづくりを助ける働きをもつコエンザイムQ10は、1957年にアメリカのクレイン博士によって発見されました。
クレイン博士は、ウシの心筋のミトコンドリアからキノンと呼ばれる物質を分離し、それをコエンザイムQ10と名付けたのです。

また、イギリスのモートン博士は、ビタミンA欠乏飼料で飼育したラットの肝臓に増えている物質を単離し、それを「ユビキノン」と名付けました。
そして、1956年に、コエンザイムQ10とユビキノンが同じ物質であることが証明されたのです。

CoQ10の歴史についての詳細記事はこちら

うっ血性心不全の治療薬としてのコエンザイムQ10

アメリカのフォーカス博士は、体内のコエンザイムQ10の量が減少して不足してしまうと、心臓病にかかりやすくなることを明らかにしました。

また、1960年代から医薬品としてのコエンザイムQ10の議論が進められ、日本では1973年に「うっ血性心不全(※1)」の治療薬として医療用医薬品として認可が下りたのです。

(※1)うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能(全身に血液を送り出す機能)が不十分なため、血液がうっ滞している状態のことをいいます。うっ血性心不全になると、下肢の浮腫や、呼吸困難などの症状が現れます。

コエンザイムQ10の薬理学名は、「ユビデカレノン」といいます。うっ血性心不全の治療薬としてのコエンザイムQ10は、投与量が一日30mgと定められていました。

そして、1991年に、コエンザイムQ10は一般市販薬(OTC薬)として販売が開始されました。

心臓への薬剤としてのコエンザイムQ10の効能は否定されている

日本では、1973年にコエンザイムQ10がうっ血性心不全の治療薬として認可され、使用されていました。しかし、うっ血性心不全に投与して、心機能の改善という効果を実証した研究はないのです。

米国心臓学会も、心臓への薬剤としてのコエンザイムQ10の効能は、ほぼ否定しています。そして現在では、コエンザイムQ10を一般臨床の場で処方する医師は、ほとんどいないといわれています。

2001年にコエンザイムQ10は医薬品から健康食品に変更される

薬剤としての実証性がないコエンザイムQ10は、医薬品の範囲に関する基準(食薬区分)の見直しに伴い、医薬品から健康食品(サプリメント)へと変更されました。

健康食品としてのコエンザイムQ10は、一日推奨量が約60mgの製品が多く流通しています。また、アメリカでは、一日推奨量が約100mgの製品が最も多く流通しているといわれています。

そして、2004年に化粧品基準が改正され、化粧品への配合も許可されました。
コラーゲンをつくる線維芽細胞の活性化や、細胞を酸化させる活性酸素を除去する働きがあるコエンザイムQ10は、様々なサプリメントや化粧品に配合され、愛用されているのです。

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