心不全の予防に役立つコエンザイムQ10の力
心筋細胞に必要なエネルギーをつくる力を活性化する
なぜ心不全の予防にはエネルギーが必要なのか
「心不全」とは、心臓の機能が低下してしまい、体に十分な血液を送り出せなくなった状態のことを指します。
心臓のポンプとしての機能が低下してしまうと、全身に必要な量の血液を送ることができなくなり、心臓をはじめ様々な臓器が正常に働かなくなってしまうのです。その結果、息切れや呼吸困難、むくみなどの症状が現れます。
心臓が正常に機能し続けるためには、エネルギーであるATP(アデノシン3リン酸)が必要です。心臓は寝ている間も動き続けているため、体の臓器の中でも最もエネルギーを使います。
心臓細胞は心臓を動かすために、一日に体重と同じくらいのATPをつくり出し消費しています。このATPは、食事などから摂取した糖質・脂質・タンパク質などの栄養素が、細胞内に存在しているミトコンドリアの働きによって変換されることで生まれます。
心臓には体全体の約35%のミトコンドリアが存在し、心臓の機能に必要な多くのエネルギー(ATP)がつくり出されています。
このため、ミトコンドリアがうまく働かないと心筋細胞のエネルギーが不足し、心不全の原因にも繋がってしまうのです。
ミトコンドリアの働きにはコエンザイムQ10の力が必要
ミトコンドリアがうまくATPをつくり出すためには、ミトコンドリアの働きをサポートしてくれるコエンザイムQ10が必要です。
ですから、体内のコエンザイムQ10が不足してしまうと、ATPの生産が減ってしまい、心不全の症状が現れやすくなってしまいます。
実際に行われた研究では、心不全で亡くなった方のコエンザイムQ10の量は、通常の心筋の約75%しかありませんでした。
また、体内のコエンザイムQ10の量は、20歳を境に減少していってしまいます。このため、ミトコンドリアの機能を活性化させてATPを十分につくり出すためには、コエンザイムQ10をサプリメントなどから意識的に摂取することが大切です。
うっ血性心不全患者を対象に行われた研究では、うっ血性心不全患者がコエンザイムQ10を3か月間摂取したところ、運動能力が改善したことがわかりました。
別の研究では、心不全患者がコエンザイムQ10を3ヵ月間摂取したところ、動悸や呼吸困難、めまいなどの症状の改善が見られました。
これらの研究結果により、コエンザイムQ10が心不全の改善に役立つことが示唆されたのです。
コエンザイムQ10の抗酸化力がミトコンドリアの機能を守る
ATPをつくり出すミトコンドリアは、活性酸素による攻撃に弱いという特徴があります。
この活性酸素は、呼吸によって酸素を吸うことで自然と発生します。本来は、体内に侵入した細菌やウイルスと戦う働きがありますが、ストレスなどの影響を受けると大量に発生してしまい、健康な細胞も酸化させて機能を低下させます。
コエンザイムQ10には、活性酸素を除去する抗酸化力があります。コエンザイムQ10がもつ抗酸化力は強いため、摂取することで過剰に発生した活性酸素をしっかりと除去することができます。
その結果、ミトコンドリアの機能が守られ、ATPをうまくつくり出すことができるのです。
ATPをつくり出す力が高まると心不全の原因になる高血圧の予防にも繋がる
正常より高い血圧が続くと、血管の壁に圧力が加わり、心臓に血液を送る冠動脈の壁が厚くなって動脈硬化が起こりやすくなります。
動脈硬化が進行すると、酸素不足によって心臓に障害が起こり、心筋の働きが低下して心不全に繋がってしまうのです。
ミトコンドリアがつくり出すATPには、実は血管拡張作用があります。ですから、コエンザイムQ10を補ってATPがうまくつくり出されるようになると、ATPのもつ血管拡張作用によって血圧の上昇を抑制することができます。
さらに、コエンザイムQ10には強い抗酸化作用があるため、血液中の悪玉コレステロールの酸化を抑えることができます。悪玉コレステロールの酸化を防ぐことで、血管や血流を良い状態で維持することができ、動脈硬化の予防にも繋がるのです。
このように、コエンザイムQ10がもつATPの生産を高める力と抗酸化力は、心不全の原因なる高血圧や動脈硬化の予防も叶えてくれるのです。