なぜ30代を超えた人はコエンザイムQ10を意識的に摂取した方が良いのか
体内でつくられるコエンザイムQ10の量は年齢とともに減少していく
コエンザイムQ10が含まれている商品は、主に化粧品やサプリメントなどが多いです。このことから、コエンザイムQ10に対して「美容に役立つ成分」というイメージをもたれる方は多いかもしれません。
しかし、コエンザイムQ10は美容のサポートをするだけでなく、ATP(アデノシン3リン酸)というエネルギーづくりにおいて重要な役割を担っています。
このATPは、細胞内のミトコンドリアが三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)を変換することで生み出され、体内のあらゆる活動で使用されます。
体内に取り入れられた三大栄養素は、ミトコンドリア内の「クエン酸回路」というところに入り、最終的に電子になります。
そして、電子と酸素が結びついてATPに変換されるためには、電子の伝達がスムーズに行われなければなりません。
この電子の伝達において重要な「受け渡し役」を担っている物質が、コエンザイムQ10です。ですから、体内のコエンザイムQ10が減少してしまうと、エネルギー不足になってしまい、疲労などを招く恐れがあります。
しかし、体内で生産されるコエンザイムQ10の量は、20歳でピークを迎えた後、年齢を重ねるにつれて減少していってしまうのです。
特に、40代を過ぎると大きく減っていきます。心臓のコエンザイムQ10の存在量は、80歳頃になると20歳頃に比べて、なんと半分以上も少なくなってしまうのです。
年齢を重ねても元気に活動をするためには、エネルギーづくりに欠かせないコエンザイムQ10を積極的に摂取することが大切です。
「酸化型」から「還元型」に変換する力は加齢によって低下する
コエンザイムQ10には、活性酸素(※1)を除去する抗酸化力がある「還元型」と、抗酸化力をもたない「酸化型」の2種類が存在します。もともと体内で生産されるコエンザイムQ10は、還元型です。
(※1)活性酸素は、酸素を吸うことで自然と発生し、体内に入り込んでしまった細菌などを退治する役割を果たします。しかし、酸化力が非常に強いため、ストレスなどの影響によって増えすぎてしまうと、余剰な活性酸素が健康な細胞まで酸化させてしまうのです。
サプリメントとして販売されているコエンザイムQ10は、酸化型が多いです。
摂取した酸化型のコエンザイムQ10は、小腸で吸収される際に還元型に変換されます。しかし、この変換力は加齢によって低下してしまうのです。
また、鶏胸肉やツナ缶、大豆に含まれているコエンザイムQ10は、酸化型が多いといわれています。還元型のコエンザイムQ10を多く含む食材は、イワシや牛肉などです。
これらのことから、体内のコエンザイムQ10(還元型)が減少していき、さらに酸化型を還元型に変換する力も衰えていく30代以上の方は、還元型のコエンザイムQ10を意識して摂取する必要があると考えられます。
活性酸素を除去する「SOD」の力も年齢を重ねると衰える
人の体には、もともと活性酸素を除去するSOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)と呼ばれる酵素が存在しています。
このSODの活動力は、加齢によって低下します。また、SODの数は、40代を過ぎると急激に減少してしまうともいわれています。
SODといった抗酸化酵素が減少してしまうと、活性酸素に対する抵抗力も弱まります。その結果、血液がドロドロになったりホルモンバランスが崩れたりするなど、様々な健康トラブルを招くリスクが高くなります。
このため、30代を超えた人は、活性酸素を除去する力をもった抗酸化成分を摂取することが大切です。
コエンザイムQ10がもつ抗酸化力は強いため、過剰な活性酸素による影響の抑制に期待できます。
コエンザイムQ10の抗酸化力で、過剰な活性酸素による影響を抑制できれば、細胞内に存在しているミトコンドリアも守られるのです。