コエンザイムQ10が貧血の予防に役立つ理由
コエンザイムQ10には貧血の原因になる活性酸素を除去する力がある
体内の活性酸素の濃度が高くなると赤血球が減少する
貧血とは、酸素を供給する役割を担っている赤血球や、赤血球の中にあるヘモグロビンの量が正常より少なくなった状態のことをいいます。貧血になると、めまいや息切れ、動悸などの症状が現れてしまいます。
この貧血を引き起こす原因として、ダイエットによる鉄分不足や、妊娠・出産・授乳による鉄分不足、月経による出血などが挙げられます。
また、体内で過剰に発生する「活性酸素」も貧血の原因となります。
活性酸素は、呼吸によって取り入れた酸素を利用して代謝が行われる際に、自然と発生します。そして、体内で発生した活性酸素は、細菌やウイルスを退治する役割を果たすのです。
しかし、ストレスや喫煙、紫外線などの影響を受けると、活性酸素は増えすぎてしまい、健康な細胞まで酸化させてしまいます。
赤血球が活性酸素による攻撃を受けると、全身の細胞に酸素を運ぶ機能が低下してしまい、貧血になりやすくなってしまうのです。
慶応大医学部の研究グループが行った研究では、体内の活性酸素の濃度が高くなると、赤血球などの血液細胞が減少して貧血を起こしやすくなることが解明されました。
赤血球といった血液細胞のもとになる造血幹細胞が分裂して2つに分かれると、片方は血液細胞になり、もう一方は幹細胞として残ります。
そして残った幹細胞は、必要に応じて分裂を繰り返し、血液細胞をつくりだすのです。
しかし、体内の活性酸素は、この幹細胞の機能を低下させ、分裂した全ての幹細胞を血液細胞にしてしまうのです。
血液細胞になってしまうと、幹細胞がもっていた能力がなくなってしまうため、新しい血液細胞の供給が減ってしまいます。その結果、貧血へと繋がってしまうのです。
コエンザイムQ10の抗酸化力が活性酸素による影響を抑制する
体内で増加した活性酸素による影響を抑えるためには、活性酸素を除去してくれる抗酸化成分を取り入れることが望ましいです。
コエンザイムQ10は、この抗酸化力が強い成分です。ですから、コエンザイムQ10を意識的に摂取することによって、体内の活性酸素による影響を抑え、幹細胞の機能を守ることができるのです。
そして、幹細胞の機能を守ることで、赤血球といった血液細胞の減少を防ぐことができ、貧血の予防が叶えられるのです。
コエンザイムQ10は貧血を引き起こすリウマチの予防に役立つ
炎症性サイトカインによって貯蔵鉄の利用障害が起こる
貧血の原因として多いのは、鉄分が不足することによって起こる「鉄欠乏性貧血」ですが、他にも様々な原因が考えられます。
そのうちの一つとして、感染症といった他の病気が原因となって起こる「二次性貧血(症候性貧血)」が挙げられます。
この二次性貧血の原因となる病気の一つが、関節リウマチです。
関節リウマチとは、免疫の異常によって、関節が炎症を起こして骨が破壊され、関節の機能が損なわれてしまう病気です。
炎症が生じた際に「サイトカイン」という物質が過剰に分泌され、このサイトカインによってさらに炎症が悪化してしまいます。
また、炎症性サイトカインは、貯蔵されている鉄の利用を障害したり、骨髄の造血を押さえたりします。そのため、リウマチの患者さんは貧血を起こす可能性が高いと考えられているのです。
ミトコンドリアの機能低下は炎症性サイトカインの分泌を促す原因になる
炎症性サイトカインであるインターロイキン1βの合成には、カスパーゼ1という酵素が関わっています。このカスパーゼ1の活性化に必要となるタンパク質複合体を総称して「NLRP3インフラマソーム」と呼ばれています。
細胞内に存在するミトコンドリアは、NLRP3インフラマソームと密接に関わっており、ミトコンドリアの働きが弱くなるとNLRP3インフラマソームが活性化するといわれています。
ですから、ミトコンドリアの機能が低下してしまうと、貯蔵鉄の利用障害を引き起こす炎症性サイトカインの分泌が促されてしまうのです。
コエンザイムQ10の抗酸化力がミトコンドリアの機能を守る
ミトコンドリアには、活性酸素による攻撃に弱いという特徴があります。そのため、ミトコンドリアの機能低下を防ぐためには、過剰に発生した活性酸素を取り除くことが大切です。
人の体には、もともと「SOD」という活性酸素を抑制する働きをもつ酵素が備わっています。しかし、このSODの働きは、40代を過ぎると弱くなってしまうのです。
ですから、ミトコンドリアの機能を活性酸素による影響から守るためには、コエンザイムQ10といった抗酸化力がある成分を積極的に取り入れましょう。
コエンザイムQ10は体内でも生産されますが、その量は20歳を境に減少していってしまいます。そのため、コエンザイムQ10はサプリメントから効率よく補うことが望ましいです。
コエンザイムQ10の抗酸化作用によってミトコンドリアの機能低下を防げれば、貯蔵鉄の利用障害を招く炎症性サイトカインの分泌を抑制することができます。
しかし、コエンザイムQ10のサプリメントはリウマチを治す薬ではないため、安易に過剰摂取しないように注意しましょう。