コエンザイムQ10は体内のどこでどのように吸収されるのか
摂取したコエンザイムQ10は小腸で吸収される
コエンザイムQ10を食事やサプリメントなどから体内に取り入れると、まず胆汁酸塩(※1)で乳化されます。
(※1)胆汁酸塩とは、肝臓でつくられる胆汁の成分です。胆汁酸塩には、水と脂肪を混ざりやすくする働き(乳化)があります。
乳化されたコエンザイムQ10は、小腸壁から吸収されます。その後、カイロミクロン(※2)に溶けて胸管リンパにより吸収され、血液循環に入ります。
(※2)カイロミクロンとは、大きなリポタンパク質(脂質とタンパク質の複合体)のことをいいます。リポタンパク質には、血液中で水に不要な脂質を使用部位へ運搬する役割があります。
そして、血液循環へと入ったコエンザイムQ10は、リポタンパク質によって全身に分布されるのです。
全身に分布されたコエンザイムQ10は、エネルギーをつくるミトコンドリアの働きを助けたり、活性酸素による攻撃を抑制したりするなど、元気な体を守るために役割を果たしてくれるのです。
酸化型のコエンザイムQ10は小腸の細胞で還元型に変わる
コエンザイムQ10には、抗酸化作用を持つ「還元型」と、抗酸化作用を持たない「酸化型」の2型があります。
体内に存在するコエンザイムQ10は還元型ですが、サプリメントとして市販されているコエンザイムQ10の多くが酸化型です。
なんと摂取した酸化型のコエンザイムQ10は、小腸で吸収される際に還元型に変わります。しかし、加齢に伴って還元型に変換させる力は弱くなってしまうのです。
摂取したコエンザイムQ10のうち約60%は吸収されないといわれている
コエンザイムQ10は脂溶性ですので、水に溶けにくくて油に溶けやすいという特徴があります。
しかし、成人の体の約60%は水でできているといわれているため、脂溶性であるコエンザイムQ10の吸収率には期待できません。
実は、細胞の約85%は水分といわれるほど、細胞には多くの水が含まれています。また、細胞の中には水を含んでいる小さな袋がありますが、コエンザイムQ10は水に溶けないため、その小さな袋から袋へと移動することが難しいのです。
このように、コエンザイムQ10は水に溶けにくく、摂取した量の約60%は吸収されずに排出されるとも報告されています。